「風邪の話 その3」


ここまで来たら、折角なので「その3」まで行っちゃいます(笑)。
前回までに述べました様に、風邪を引いた時に高熱を出すことは、とても大事なことなのです。

 

では、なぜ医者は、(風邪の患者さんに)解熱剤を処方するのでしょうか?

 

それは、熱が上がり過ぎて体に異常が生じた時や、それを予防するために処方するのです。

例えば、高熱のために食欲が落ちて栄養状態が悪くなったり脱水状態になったりすれば、
体力が落ちるどころか、生命そのものにも危険が及ぶ可能性があります。

つまり、解熱剤は、熱があるからという理由で使用するのではなく、
熱によって体に悪い症状が出現したときに(のみ)使用すべきなのです。

ですから、例えば、幼いお子さんが38℃以上の高熱を出したとしても、
食欲があり他に重篤な症状が無ければ、それほど心配する必要はありません。

 

風邪を引いた患者さんに このような説明をして薬を処方する医師がどれだけいるでしょう?

 

嘆かわしいことですが、たいていの医師は、説明するのが面倒だからという理由で、
流れ作業のように、解熱剤を処方してしまっているのです。

 

もう一つ言いますと、風邪の際に安易に抗生物質を処方する医師も要注意(?)です。

風邪を引き起こすバイ菌には、主に細菌とウィルスが挙げられます。
ここで、まず、抗生物質というのは細菌にしか効かないということをご理解下さい。
(一部例外を除き、抗生物質はウィルスには無効なのです。)

もし、あなたの風邪が扁桃腺炎からくるものであったのなら、
その原因は「溶連菌」という細菌であることが多いので、抗生剤が良く効くかもしれません。

しかし、残念ながら、一般的な風邪の原因となるバイ菌のほとんどは、
「インフルエンザウィルス」や「ノロウィルス」などのウィルスによるものなのです。

 

はじめから効果が無いと分かっているのに抗生剤を飲む必要があるのでしょうか?

 

確かに、風邪を引いて体力が低下している時に他の感染症がうつらないようにするため、
抗生剤を予防的に服用するという方法があります。

しかし、その感染症の原因が必ずしも細菌によるものであるとは限らないし、
もし仮に細菌性の感染に罹ってしまったとしても、抗生剤の種類によっては、
その細菌に対して効果が無い可能性だってあります。

僕は、「生命の危険を感じる位に体力が低下している場合」などの例外を除いて、
抗生剤の使用は、他の感染症を疑うような症状が出現した時でも間に合うと思います。

つまり、風邪のときに予防的に抗生剤を服用するということは、あまり意味が無いのです。

 

僕が病院勤務だった頃は、(普通の)風邪の患者さんには抗生剤を処方しませんでしたし、
処方を希望する方には、理解していただけるまでご説明いたしました。

説明するのが面倒だと思っている医師は、他の面でも手を抜いてしまっているかもしれません。

 

最後に、おさらい(?)です。

「熱冷まし」・「くしゃみ止め」・「鼻水止め」などの、いわゆる風邪薬というものは、
薬の効果で各々の症状を抑えるだけであり、風邪を根本的に治すものではありません。

風邪を治すのは、みなさんの免疫力(つまり、みなさんの体力・底力)です。

そして、その体力・底力を増やすためには漢方薬が効果的だと思います。
(・・・と、最後にチャッカリと宣伝してしまいスミマセン。)

2008/8/28更新


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