「西洋医学と東洋医学」


当診療所を古くからご利用いただいておられる患者様の中には、

「西洋医学は自分には合わない。」
「漢方薬以外のくすりは服用したくない。」

と、話される方が少なくありません。

当診療所にとっては、とても喜ばしいご発言なのですが、(笑)
僕は西洋医学の医師でもありますので、いささか複雑な心境です。

西洋医学には西洋医学の長所・短所がありますし、
東洋医学には東洋医学の長所・短所があります。

一般的には、

西洋医学は急性期の症状を治療するのに効果的で、
東洋医学は慢性期の症状を治療するのに効果的

と言われています。

具体的に話しますと、風邪をひいてしまわれたとき、
鼻水や、咳、のどの痛みなど、今現在出現している症状が生活に支障をきたすときには、
西洋薬を服用することで、無理矢理にでも症状を抑える必要があるかもしれません。

このような場合は、漢方薬は即効性に乏しいことが多く、やや不得意です。
というのも、東洋医学の本質的なものは、「予防医学」にあるからです。

漢方薬は、通常時や風邪のひき始めに内服することで、
自然治癒力を高めさせるように働き、風邪をひきにくくするのです。

あるいは、御不幸にも、癌と診断されたとき、
その部位や進行度などを考えて、切除による根治の可能性があるのであれば、
外科的治療を受けられた方がいい場合があります。

このような場合は、漢方薬を併用することで、自然治癒力向上により癌の発育を抑え、
体力を増加させることで、手術による体力消耗を抑える効果が期待できます。

(東洋医学の慢性期の症状に対する効果については、後日 コラムに執筆予定です。)

いずれにしても、

西洋医学と東洋医学は、どちらかが正しくてどちらかが間違っている

ということではありませんので、あまり上品な言葉ではありませんが、
両者を「いいとこ取り」してしまえばいいのではないかと思います。

2008/7/10更新


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